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【長崎県】 「愛情のガソリン ためてあげたい」 法務教官の経験生かし 最善策一緒に考える

罪を繰り返す障害者や高齢者らに福祉サービスを提供し、更生や社会復帰を支援する長崎県地域生活定着支援センター(諫早市)に今年4月から勤務する田岡亜佑美さん(27)。少年院の法務教官を3年間務めた経験がある。矯正施設で少女と出会って「地域社会も変わらないといけない」と考えるようになり、更生支援に生かそうとしている。

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「法律に違反した触法者に携わる仕事に就きたい」。そう思った原点は、幼少期にある。田岡さんは母子家庭で育った。幼い頃、テレビで「母子家庭は犯罪率が高い」とニュースで見た。「どうして、そんなことはない」。そんな疑問や違和感は少しずつ問題意識に変わっていった。2015年に香川大法学部を卒業後、四国の女子少年院の法務教官に就き、矯正教育に携わった。
 転機は17年。少年院に薬物中毒を抱える10代の少女がいた。日々の矯正教育プログラムの効果もあり、少女からは前向きに社会で生きていく姿勢が見えた。「もうきっと大丈夫」。少年院を出る時、田岡さんもそう思っていた。
 だがしばらくして、少女の関係者から情報提供があった。少年院を出た後、家族の元へ戻った少女は反社会的勢力の男とつながり、屋内に監禁された状態で薬漬けにされていた。「まさか」。言葉を失った。そして、「戻すべきではなかった」と痛感させられた。
 「結局、少年院を出ても元の悪い環境に戻れば同じことの繰り返しになる。その人を取り巻く地域社会が変わらないと解決しないと気付かされた」
 田岡さんは法務教官を辞め、18年から同大大学院法学研究科に2年間通い、地域の更生保護施設や犯罪被害者支援の在り方について学び直した。そして昨年7月、フェイスブックで長崎県地域生活定着支援センターの募集を見て決意し、今年4月から職員として勤務している。対象者5、6人を担当し、県内各地で面会を重ねつつ行政機関との調整にも奔走する。
 長崎に来て半年。仕事の「対象」は少年院の少女から罪を繰り返す障害者や高齢者らに変わった。そして同僚の仕事に対する姿勢に感化され、目の前の相手に抱く心境も変わった。
 「少年院では『矯正させる』という気持ちが強く、自分が模範として少女たちに働き掛けることが大事だと感じていた。今はそれだけでなく、どういうふうに支援対象者に寄り添えば幸せに導けるかを考える」
 法務教官時代には、少女の周囲の生活環境は手紙や面会など限られた情報で推し量るしかなかった。現在は支援対象者の家族や友人とも関わりながら、より深く相手を知った上で更生への最善策を一緒に考える。「とにかく寄り添い続けることが大事。からっぽになっている愛情のガソリンをためてあげたい」。笑顔を浮かべて、田岡さんはそう語った。

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